参考資料
襲色目(かさねいろめ)
「満佐須計装束抄」(まさすけしょうぞくしょう)
女房の装束の色
- 春夏秋冬のいろいろ。祝いに着るいろいろ
- すおうのにおい(蘇芳の匂い)
- 「うえは淡くて。したざまに濃く匂いて。あおきひとえ。」
女房の衣装は、通常五枚重ねて着ます。この「うえ」は一番外側の衣装のことで、下になるほど濃い蘇芳色です。「におい」というのは、淡色より濃色へ、または濃色より次第に淡色へと重ねて着る様式です。単は青緑色です。
- まつがさね(松重ね)
- 「うえ二つ蘇芳の濃き淡き。萌黄(もえぎ)の匂いたる三。くれないの単。」
衣装の一番上に濃い蘇芳、二番目には淡い蘇芳、三番、四番、五番と内側にむかって萌黄色が淡色より次第に濃色になる。その下に着る単は「くれない」色ということ。
- しろぎつねのことなり
- 「蘇芳の匂い。白絹に、はじこきうちを重ぬべきなり。」
蘇芳の匂いは濃中淡の三枚、「はじ」は色彩名です。はじこきうちと読めば、はじ色に濃く染めた物です。
- くれないのにおい(紅の匂い)
- 「うえくれないを着て。したに淡く匂いて。紅梅のひとえ。」
一番上に「くれない色」を着て、二番三番と内側になるほど「くれない色」を次第に淡くする。単の色目の紅梅は、はっきりしないが多分、紫味のある赤色、つまり今の紅色とみられる。
- もえぎのにおい(萌黄の匂い)
- 「うえは淡くして。したへ濃く匂いて。くれないのひとえ。」
五枚の衣装の色が、すべて萌黄、つまり黄緑色で、上が淡い萌黄で下になるほど濃くなっているもの。単は「くれない色」
- 十月一日より、練衣(ねりきぬ)わたいれて着る
- 菊のようよう(菊の様々)
- 「おもてはみなすおうの匂い。うらみなしろし。あおひとえ。」
表は、一番上に蘇芳、二番より五番まで次第に淡くなる。裏はみな、白です。単は青緑色。
- くれないもみじ(紅もみじ)
- 「くれない。やまぶき。きなる。あおき。濃き淡きくれないのひとえ。」
『スハウ、ヒトエトゾオボユル』の註「くれない」は濃いピンク色、山吹は、少し赤味をもった黄色で、夏みかんの色とレモンの色の中間色。「きなる」は黄色で、今のレモン色、少し青味をもつ黄色。「あおき」は青緑
- 五せちより春まで着るいろ
五せちは五節です。五節(ごせち)とは平安時代に、毎年十一月中の丑・寅・卯・辰の四日間、朝廷で行なわれた年中行事のことです。それで、五せちより春まで着るいろというのは十一月の半ばごろから春までの色のこと。現在の十二月ごろとすれば合う。
- むらさきのうすよう(紫の薄様)
- 「うえよりしたへ、うすくて三。しろき二。しろきひとえ。」
上より下へ、紫を次第に淡くして三枚、その下に白を二枚の五つの衣装をきる。単は白です。
- やまぶきのにおい(山吹の匂い)
- 「うえこくて。したへ、黄なまで匂いて。あおきひとえ。」
一番上は濃い山吹で、次第に下にうすくして黄になるまとする。単は青緑色。
- うめがさね(梅重ね)
- 「うえしろき、こうばい匂いて。くれない一。こき蘇芳。こきひとえ。あおきひとえも心心なり。」
上は白く淡い紅梅、そして淡い紅梅、紅梅色と次第に濃くして三枚。くれない一枚。濃蘇芳一枚、合わせて五枚の衣装。単は深紫色と定められてはいますが、青緑色を使ってもよい。
上三枚が同じ紅梅です。こともあり、「あかいろ」です。こともある。「あかいろ」とは茜草で染めた緋(あけ)色のことです。
- ゆきのした(雪の下)
- 「しろき二。こうばい匂いて三。あおきひとえ。」
白い衣装二枚、紅梅の濃、中、淡色三枚合わせて五枚の衣装で、単は青緑色。
註では、単は「あおきひとえ」は誤りとし、「くれない」が正しいとしています。
- むらさきむらご(紫村濃)
- 「むらさき匂いて三。あおき、こきうすき二。くれないのひとえ。」
濃い紫より下へ、次第に淡く三枚、青緑色の濃色一枚、淡色一枚あわせて五枚の衣装。単は「くれない色」。
- ふたつのいろに(二つの色に)
- 「うすいろ二。うらやまぶき二。もえぎ二。くれないのひとえがさね。」
薄紫の衣装を二枚重ね、その下に裏山吹を二枚、そしてその下に黄緑色を二枚という計六枚の衣装を着る。単も「くれない」を二枚重ねて着る。
- いろいろ(今までの条の他の色目)
「うすいろ一。もえぎ一。こうばい一。うらやまぶき一。うらこきすおう一。くれないのひとえ。」
- 四月うすぎぬにきるいろ
初夏の装束の色目
- わかしょうぶ(若菖蒲)
- 「おもてあおき、こきうすき三。ふたつは裏しろし。しろおもて二。裏、紅梅の匂三。しろきのすずしのひとえ。」
五枚の衣装の上より、表が濃い青緑で裏が白のもの一枚、表が中の青緑で裏が白を一枚、表が淡い青緑で裏が濃い紅梅、四枚目は、表が白で、裏が中の紅梅、五枚目が、表が白で裏が淡い紅梅です。単は白色の「すずし」。
- ふじ(藤)
- 「うすいろの匂いて三。しろおもて二が。うらあおき。こきうすき。しろきすずしのひとえ。又くれないのすずしのひとえ。」
上より、表裏とも、薄紫を次第に淡くして三枚、あと二枚はともに表は白。裏は一枚を青緑の濃色とし、一枚を淡色とする。単は白い「すずし」か、または「くれない」のすずし。
- つつじ(躑躅)
- 「くれない匂いて三。あおきこきうすき二。ひとえしろき、くれない。こころごころなり。」
「くれない」の濃中淡の三枚、青緑の濃淡のあわせて五枚の衣装。ひとえものは、白でも、「くれない」でも自由。
- 花たちばな(花橘)
- 「やまぶきこきうすき二。しろき一。あおきこきうすき。しろひとえ。あおひとえ」
山吹の濃淡二枚、白一枚、青緑の濃淡で二枚。単は、白色または青緑のもの。
- うのはな(卯の花)
- 「おもて、みな白くて、うらしろき二。きなる一。あおきこきうすき二。うらしろきひとえ。」
衣装の表絹は、すべて白です。うらは上より、白二枚、黄、濃青緑、淡青緑の順に五種です。単は白色です。
- なでしこ(撫子)
「おもては蘇芳匂いて三。しろおもて二。うら蘇芳。くれない。紅梅。あおき濃き淡き。しろき。くれないのひとえなり。」
- ぼうたん(牡丹)
- 「おもてはみな淡き蘇芳。裏みな白し。すずしのひとえ」
- もちつつじ(餅躑躅)
- 「すおう三において。あおきこきうすき。しろきひとえ」
上より蘇芳で濃中淡と三枚。青緑で濃淡二枚、あわせて五枚の衣装。単は白色。
- かきつばた(杜若)
「うすいろ匂いて三。あおきこきうすき。くれないのひとえ。つねのとおり。[ ]ばかりなり。」
薄紫を次第に淡くして三枚、青緑の濃淡で二枚、単は「くれない」。以下不明。
- 五月ひねりがさね(五月捻重ね)
梅雨期です。ため、今までの中より選びだして再度用立てしていますもの。ひねり出したもの。
「むらさきのうすよう。うすぎぬのいろにおなじ。」のように再度使われるものなので作品化しなかった。
- 六月よりのひとえがさね(単重ね)
例えば蘇芳と白のひとえを重ねて着るもので薄着です。
- 七月七日より着がえする
はぎ、うすいろにあおたて、したに、あおきかさね。
おみなえし、きなるあおたて、したにあおきかさね。
この二つは「織色」のこと。
はじめのものは、「はぎ」で、淡い紫色の糸と青緑色の糸で織った織物を着て、下に青緑色の単を重ねる。
「おみなえし」とは、黄色の糸と青緑色の糸で織った織物でその単を着て、したに青緑色の単を重ねる。
- 八月一日より十五日まで。ひねりがさね
- すすき
- 「蘇芳のこきうすき三。あおきこきうすき。しろきひとえ。」